下川関の趣味ブログ

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【25-26 NBA】心の強さで掴んだFMVP ジェイレン・ブランソン

 2025-26シーズンのチャンピオンになったニックス。FMVPは最終戦となるゲーム5で圧巻のパフォーマンスを見せたジェイレン・ブランソンでした。

 私は2019-20シーズンから本格的にNBAを見始めた元マブスファンなので、当然ブランソンはお気に入りの選手の一人です。ルカ・ドンチッチの控えPGだった彼がマブスを離れてニックスのエースになり、ドンチッチよりも早く優勝するというのは色んな感慨がありますが、一番はやはり嬉しいという気持ちですね。

 今回は私が見てきたブランソンという選手について、色々と書いてみたいと思います。

 

2019-20 堅実さのある控えPG

 2019-20シーズンは流行り病によってシーズンが一時中断、ディズニーに隔離施設(バブル)が設置され、その施設内でプレーオフが開催されるという特殊なシーズンでした。このシーズンに二年目のドンチッチを中心にプレーオフチームとなったマブスは、カワイ・レナード率いるロサンゼルス・クリッパーズにゲーム6で敗れ、一回戦敗退となります。それは決して悲観するような内容ではなく、20歳の選手が当時優勝候補筆頭と目されていたクリッパーズを相手に十分に戦えることを証明した、NBAファンにとっては明るい話でした。

 そんなプレーオフでマブスの控えPGとして活躍したのがブランソン――ではなくトレイ・バーク。ジャーニーマンだった彼をシーズン再開前に獲得したマブスは、ドンチッチとバーク、セス・カリーのPGでクリッパーズと戦いました。この時の活躍から、中国行きがほぼ決まっていたバークは2022年までマブスに在籍することになります。

 ブランソンは肩の怪我でプレーオフに出場できなかったんですよね。しかし彼の有用性はこのシーズンで既に証明されていたように思います。ビラノバ大学を優勝に導いたPGという肩書きに相応しい堅実なシューティングとパスで、マブスのベンチを率いていました。

 


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 ブランソンの貴重な角刈り(?)シーズンです。さすがにもう慣れましたが、彼が今の髪型になった時は凄く違和感がありましたね。

 この時のブランソンの印象としては「これでまだ23歳!?」でした。ルーキーシーズンのドンチッチのハイライトを見て「こんな落ち着いたプレーが出来てまだ19歳なのか」と心底驚きましたが、フル試合を見るようになってブランソンのプレーを見ると「ああ、これがベテランPGの動きなのか。勉強になるなあ」と頷きながら見ていたところにその情報がポンと舞い込んできてマジかと思いましたね。おまけにドンチッチと同じドラフト年、風貌がまたいかにもベテランだったから余計に衝撃的でした。

 改めて見てもやっぱり上手いなと思います。ファンタスティックなパスが多い一方でミスも少なくなかったドンチッチに対して、自分のミスが生まれにくいプレーを選択し続けるブランソンは対照的でした。どちらも真反対のベクトルで上手い。特にまだこの時はザ・ハンドラーという感じではなくオフボールで動いてパスを引き出すようなプレーも多くて、ドンチッチを並べたくなるスキルセットを持っていました。

 

2020-21 第2PGの地位を築いたシーズン

 怪我から復帰したブランソンは、翌シーズンになるとプレータイムを17.9→25.0分に伸ばします。それまではJJバレアと二人でベンチを支えていましたが、このシーズンは本格的に第2PGの地位に上り詰めました。

 


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 この年がプレーオフデビューというところも含め、実質この2020-21シーズンが、ブランソンがマブスの完全なローテーションメンバーに加わったシーズンだったといえるでしょう。12.6点3.4リバウンド3.5アシストをTS61.8%、AST/TO 2.99という効率で記録したブランソンは、控えとしては文句のつけようがない活躍を見せます。

 控えPGとして、レギュラーシーズンのレベルでは既に証明することがなかった彼の次のステップが、プレーオフで通用するかどうか、ということでした。そのプレーオフでブランソンは16.3分のプレータイムで8.0点2.6リバウンド1.4アシストを記録。FGの成功率自体は良かったものの、PGとしてドンチッチがいない時間を支える役割はこなせず、堅実さだけではどうにもならない壁を突き付けられたようでした。悪くはないけど、物足りなかったという感じ……と言いつつ、この時のプレーオフではドンチッチがあまりにもモンスター過ぎてね。

 

2021-22 プレースタイルが固まったシーズン

 プレーオフで活躍出来る選手になるのが課題となったブランソンは、このシーズンにブレイクします。16.3点3.9リバウンド4.8アシスト、元来の効率の良さを維持しつつ、得点とアシストを更にスケールアップさせました。

 


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 このシーズンで明確に変わったのはシュートチョイスで、ブランソンはフェイダウェイを選択する機会が増えました。20-21シーズンに23本しか打っていなかったところから77本にまで増やします。

 元々ミッドレンジゲームが良かったブランソンでしたが、それまではドライブからのストップジャンプシュートが多かったのに対して、ペイントエリアで足を止めてからの選択肢が生まれたことでステップスルーからのレイアップというムーブも比例するように増えて、一気にドンチッチの代役を務められるだけの選手に成長しました。

 これは多分という話なんですけど、前年の20-21シーズンはドンチッチがフェイダウェイを凄く増やしたシーズンなんですよね。で、これを見てブランソンもフェイダウェイに自分の進化を見出したんじゃないかと思っています。共にレイアップが上手い選手なので、フェイダウェイを打てることはステップスルーという形で元来の得意技を発揮しやすくなったように見えました。だからといってこうもすぐに増やせるわけではないですけどね。

 かくしてブランソンの今に続くミッドレンジゲームは完成系を迎えました。プレーオフでの課題に対して見事にアンサーしてみせたブランソンは、ドンチッチを欠くジャズとのゲーム1、ゲーム2でチームのエースとして活躍し、1勝1敗でホームに帰還します。ドンチッチ復帰後も明確にチームの二番手として戦い、21.6点4.6リバウンド3.7アシストとレギュラーシーズンのスタッツを上回り、オールスタークラスの結果を残しました。

 この選手が4年55milで残ってくれそうだったのに、契約延長を断ったGMがいるんですよ。信じられますか?

 

マブスが選ばなかった未来

 今となっては破格も破格の契約延長を渋ったマブス。ブランソンを失ったマブスは2022-23シーズンにハンドラーを取っては放出、取っては放出、最終的にプレーオフを逃すというまさに自業自得な結果に終わりました。

 なぜニコ・ハリソンがブランソンと契約延長をしなかったかについては正直「分からん」としか言えませんが、ドンチッチがトレードされた時に書いた記事では「ドニー・ネルソンの遺産を残したくなかった。自らの力で一からダイナスティを作り上げたかった」というような解釈をしています。そういう解釈をしないと、本当によく分からないんですよね。

 ドンチッチとブランソンのコンビは非常に相性が良かったと認識しています。独力でチームにダイナミックさを与えるドンチッチと、彼ほど飛び抜けたプレーメイクはないものの、シュート力の高さで堅実なエース役が出来るブランソンは、周りに揃えたくなる選手のタイプが似ていてチーム作りがしやすいです。加えてオフェンス面ではオフボールからの仕掛けもあって、意外とディフェンス面でもサイズの割に悪くなかったブランソンだったので、同時起用での相性の良さもありました。

 ディフェンス力でステップアップした21-22シーズンの後ということで、ブランソンのディフェンスを懸念して手放したのかもしれませんが、じゃあ22-23シーズンのディフェンスは良かったかと言われたら全くそうではなかったので……ブランソンはチャージドローが非常に上手い選手で、リムプロテクションに欠けていたマブスにとっては貴重なディフェンスオプションになり得ていました。

 もしもあの時、ブランソンと契約延長していたら、どうなっていたんでしょうね。確かなことは、ブランソンがMVPクラスの選手として評価されることはなかっただろうな、ということです。

 

MVPブランソン

 ニックスに移籍してからのブランソンはオールスタークラスからイーストのトップPG、そしてリーグトップクラスのPGとして評価されました。2023-24シーズンのMVP投票はは確かSGA、ドンチッチに次ぐ3番目でしたかね。

 


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 これを見れば彼が凄い選手なのは一目瞭然ですが、元マブスファンとしてはユニフォームが違うだけで、正直21-22シーズンとほぼ同じ内容に見えちゃいます。

 ニックスでオンボールプレーが増えて、徐々にファウルドローを覚えていきはしましたが、彼のスキル面はフェイダウェイを習得してほぼ完成を迎えていました。言い換えれば21-22シーズンの時点で既にMVP級のスキルセットを持っていたということになります。それは言い過ぎ……とは、個人的には全く思っていなくて、だからこそあの時マブスがブランソンを手放したことが不思議で仕方ありませんでした。マブスに在籍していたらMVPにはなれずとも、オールNBAチームぐらいは全然あり得たんじゃないかと、そう思っていたんですけどね。

 

 晴れてドンチッチよりも先にファイナルMVPになったブランソン。今シーズンのブランソンはFMVPに加えてイースタンカンファレンスFMVP、NBAカップMVPと、25-26シーズンはまさにブランソンのシーズンでした。何気にシャックと同じ3つのMVPタイトルを受賞した史上2番目の選手なんですかね。

 なぜ彼がMVPを獲得出来たのか。自分がチームのファーストオプションになったからという環境要因が最も大きいと思いますが、それこそ自分がチームのファーストオプションという選手は少なくとも30人はいるわけで、なぜブランソンがその中で突出した存在になれたのでしょうか。スキル面での積み上げは大部分が完了していたので、要因があるとすればそれ以外の部分です。

 一言でいえばメンタルです。ブランソンは小柄で身体能力が高いとはいえず、本来MVPどころかNBAで活躍する事自体が難しいはずの選手ですが、目の前にビクター・ウェンバンヤマがいようと強気にシュートを打ち、ブロックされても打ち続けるメンタルの強さが彼をMVPにしたと思っています。

 ゲーム5は、まさに彼の精神性がそのまま表れていたような試合でした。それまでのシリーズ、とても好調とはいえない内容でありながら一貫してシュートを打ち続けて、ゲーム5で実を結んだのです。このフ

ァイナルで最もスパーズを苦しめていた選手は恐らくカール・アンソニー・タウンズで、最も重要なシュートを決めたのはOGアヌノビーかもしれませんが、最もFMVPに相応しい選手は誰かと聞かれたら、これはもう間違いなくブランソンと答えたくなる、そんな試合でした。

 身体能力のハンデを感じさせないスキルとそれに裏打ちされたプレーへの自信。25-26シーズンFMVPのトロフィーは、ジェイレン・ブランソンの心の強さを証明するトロフィーでした。おめでとう、ブランソン!