1stラウンドの日程が終了してカンファレンスセミファイナルが始まりました。ここで各プレーオフシリーズを見た感想をそれぞれ書いてみたいと思います。
ウェスタンカンファレンス
サンダーVSサンズ
1stラウンドで唯一、スイープで決着がついたシリーズでした。昨年王者のサンダーが圧倒的な強さを見せて危なげなく勝ち切ったという内容で、ここだけ見ると起伏のないシリーズのように思えますが、実際は非常に面白いシリーズだったと思います。
私はこのシリーズの全試合をフルで見ていたわけではなく、エリミネーションゲームとなったゲーム4以外は1Qだけとか、後半だけとか、そういった感じで見ていました。見てみると、毎回のように内容が違うんですよね。ゲーム1はブッカーがハンドラーをやっていましたが、ゲーム2以降はギレスピーがPGを務めてイグダロとしっかりプレーを構築し、グリーンやブルックス、グッドウィン等のウィングプレイヤーを活躍させていました。ディフェンスでもSGA対策で徹底してファウルしない守り方をしたり、ブリッツでボールを手放させたりと、多様な戦術をサンズは駆使して、それに悉く対応し続けたサンダーという内容でした。
このように、サンズ側の攻守に多様な戦術変更の繰り返しがシリーズを盛り上げてくれました。今シーズンHCに就任したジョーダン・オットの手腕は痺れましたね。これだけ使いこなせる戦術を持っている時点でまずHCとして優秀ですし、何よりこれを実行出来るようシーズンを通してチームを成長させたことが素晴らしいです。
ブッカー、デュラント、ビールに優勝経験のあるブーデンフォルツァーをHCに据えたスターチームでプレーインにすら辿り着けなかった昨年のことを考えると、勿論良い意味でよくこの戦力でここまで戦えたなと思えます。プレーインどころかプレーオフへストレートインを果たし、プレーオフで自分たちがどこまで戦えるのかを確かめることまで出来たわけですから、100点どころか120点の結果で終えられたシーズンだったといえるでしょう。しかもこれがたった一年での出来事ですからね。COYの最終候補にすら選ばれなかったのが不思議でなりません。
このように、今シーズンに関しては文句なしの成果を見せていたサンズ。だからこそ難しいのが来シーズンの方針です。自分たちの強みを出せなかった、見失ってしまったというなら、じゃあ強みを出せるようにチームを強くしようという方向に踏み出せるのですが、サンズの場合は自分たちの強みを遺憾なく発揮した上でのスイープ負けでした。
それこそ普通のチームなら「これで勝てなかったらチーム作りを見直すか」と結論付けてしまうようなところまで戦えたからこそ、何をどうするか二の足を踏んでしまう状況にいそうなサンズ。ここで結論を急いでまたスター選手に手を出したとして、昨シーズンのことを思うと果たして今年のような戦い方が出来るのかという疑問もあります。かといって若手ばかりというわけでもないロスターなので、継続による戦術の充実よりも先に選手の衰えによる緩やかな衰退も考えられ……本当に難しい。個人的には現行メンバーで継続する路線を見てみたいです。オットがここから何を積めるのか、積むことが出来るのかというのが非常に気になります。
あと、ブッカーについて。実は元々そんなに好きな選手じゃなかったのですが、彼もまたSGAと同じく自然と振り向かせてくるというか、リスペクトしたくなる選手になっています。数字だけでいえば大した活躍をしていなかったんですが、プレーインから他の選手に出来ないボールコントロールを任され、その仕事を全く文句を言わずこなしていたんですよね。ウォリアーズとのプレーインでは終盤でチームを落ち着けて時間を潰して逆転の芽を摘んでいましたし、サンダーとのゲーム1でも超ハイプレッシャーディフェンスにボールを持つ事すら難しい状況で、しっかりボールと試合をコントロールしていました。
こう、ドンチッチのように的確に空いたところにパスを出すとかそういう感じはないので、向いているか向いていないかでいえば全く向いているとは思えないですし、スタッツも下がっているので、ブッカー的には正直選手としての格が下がったシーズンだったと思います。それでもチームに文句を言わない。サンダーとのシリーズで接触に対して笛を吹かれなくても、試合中は文句を言わずプレーに集中する。そのメンタリティと向いてない仕事もこなしてしまえるスキルを見せたブッカーは、数字的には良くなかったとしても、彼の選手としての懐の深さはより感じられました。
2015-16シーズンからサンズ一筋で過ごしたブッカー。ひとつのチームに所属し続けたフランチャイズプレイヤーとしては、何気にカリーに次ぎ、ヨキッチと並ぶリーグ2番目の選手になるんですかね。報われてほしいなあ。
サンダーについては特にないというか、さすがの強さでしたね。オットの見事な采配にダグノートがボロを出すシーンがたまにありましたが、そんなことでは揺らがないぐらいのディフェンス力とSGAの偉大さでした。
SGAに対してファウルせずに守るというのは昨シーズンのファイナルでネムハードが見せた正解のひとつでしたが、SGAはそういう守り方をされたらされたでシュートを悉く決めていきました。そんなことがあり得るのかと思うぐらいに決めていたのでサンズもボールを手放させるような守り方を仕掛けましたが、そしたらパスを捌いてアシストを稼ぎます。どうすりゃいいんだと言いたくなるプレーでした。
レイカーズVSロケッツ
負けはしたものの素晴らしい内容だったサンズに対して、ロケッツです。まあ、うん……って感じでした。
やはり「昨年からの反省」が出来ていなかったというのが印象悪いですね。今シーズン何をやっていたんだと言われても仕方ないようなプレーオフでした。勿論何もやっていなかったわけではなく、シェパードをハンドラーに据えようと82試合使い続けていましたし、そうなると負けがかさんでもおかしくないところを、ハードワークでフォローしてストレートインを果たしたので、その点については頑張っていたのかなと思います。ただ蓋を開ければドンチッチもリーブスもいないレイカーズにあわやスイープされかけるという結果。
仮にレイカーズに勝っていたとしても優勝出来るような試合内容には正直見えませんでしたし、勝負を仕掛けるタイミングを見誤ってしまったように見えてしまいます。昨シーズンの結果が良かっただけにそう思ってしまう気持ちは凄く分かるのですが、去年も言っても1stラウンドで7位のウォリアーズにアップセットを食らいましたからね。もっと地に足がついたシーズンプランを敷く必要があったのかもしれません。
それでいうと、ウドカの去就は気になります。個人的には彼がいたからロケッツはプレーオフに行けたと思っていますが、これからプレーオフを戦うチームを率いるHCとして彼が相応しいのか。
レイカーズはシーズン中盤に突如としてレブロンがプレースタイルを変更して上手く行き、そのオフェンスがプレーオフでも通用したことが分かりました。しかも隣にいたのがドンチッチでもリーブスでもなく、スマートでそれが出来たというのは、非常にポジティブな結果だったと思います。
まだ先の話ではありますが、復帰したリーブスがサンダーにこてんぱんにやられたゲーム1を見ると、リーブスよりもスマートにサラリーを払いたくなりますよね。リーブスは来シーズンの契約がPOで今シーズン終了後に高額契約を望んでいるという話ですが、レイカーズはただでさえ層が薄いチームなのでリーブスに払いすぎるのはちょっと……
ナゲッツVSウルブス
2021-22シーズンぶりに1stラウンドで散ったナゲッツ。正直この1stラウンドで一番印象の悪いチームでした。ロケッツは戦術の進化は出来なかったもののシェパードという若手を我慢して使い続けて、言ってもプレーオフではそこそこ活躍していましたが、ナゲッツは苦しくなるほどに使い慣れたメンバーを起用して、怪我人が出てからようやく若手達を使いだしたように見えました。
ナゲッツは以前から、ヨキッチ&マレーのツーメンゲームという最強の戦術に個性的なロールプレイヤーを組み合わせて、より複雑なオフェンスにしていくというチームでした。だからチームのシーズンプランは「色んな選手(特に若手)を使ってプレーメイクに絡ませる」ということに注力すれば良かったはずが、蓋を開ければヨキッチ&マレーのツーメンゲームにゴードンが加わり、ゴードンがいなければずっと二人がボールを持っているというシリーズでした。
このシリーズはゴベアがヨキッチをボコボコにしていましたが、これは単にゴベアのディフェンスが良かっただけでなく、ツーメンゲームしか引き出しがないからやれることが少なかったということもあるかと思います。二人のツーメンゲームにカッティングもケアしてとなれば、見る範囲が広がってゴベアもここまでピック&ロールに集中して守れなかったでしょう。
チームが上手く行かなかった理由として「HCだけが悪い」というケースって実はあまりないと思うのですが、今シーズンのナゲッツに限っては正直そう言いたくなりますね。ウェストブルックと契約延長しなかったのは謎でしたが、代わりにハーダウェイを連れてきてそれなりに活躍しましたし、高額契約を回避できなかったMPJの代わりにキャメロン・ジョンソンも用意しました。
そして、そもそもペイトン・ワトソンやジュリアン・ストローザー、ジェームズ・ナジ等の若手もロスターにいて、彼らを戦力化してもらうのがフロントの算段のように見ていましたが、怪我で離脱したワトソンは仕方ないとして、彼らに助けられたという試合はほぼないシリーズでした。スペンサー・ジョーンズは悪くないプレーをしていましたが、プレーメイクに絡んでいたわけではないので。
同じことはキャメロンにも言えて、彼は中でも外でもオフボールムーブが出来る優秀なウィングですが、役割としてはジョーンズと同じくほぼスポットシューターで「そんな使い方しかしないならわざわざトレードで獲得しなかったわ!」と思いそうなプレー内容でした。ブッカーは得意領域ではないプレーが増えたことを評価したくなりますが、キャメロンの場合はただただ気の毒だったと言いたくなります。
まあHC交代はやむなし……かと思ったら、ナゲッツは続投を宣言したようです。来シーズンこそ、再び多様なオフェンスを構築して欲しいですね。これで失敗したら今度はフロントの責任だ。
ウルブスはナゲッツとは対照的でしたね。2年連続カンファレンスファイナルの経験値から来るベースの強さと、若手や新戦力の爆発で快勝しました。
早々に怪我をしてしまったエドワーズとディビンチェンゾというオフェンスのキーマンを失ったものの、ドスンムのモンスターパフォーマンスとテレンス・シャノンのドライブがクリティカルに効いていました。またその二人ほど効いていた感じはなかったもののハイランドを混ぜたことも、ナゲッツとの明確に違いになっていました。
ゲーム4のドスンム、凄かったですね。43点をFG 13/17(76.4%)に3P 5本パーフェクトという衝撃的な数字で達成したわけですが、正直このスタッツ以上のインパクトを試合で見せていたと思います。とにかく攻守の切り替えが速い。NBAが大トランジション時代を迎えて久しく、攻守の切り替えというのは今や多くのプレイヤーに浸透しているスキルですが、その中でも群を抜いて速かったです。ファンブルの隙を一瞬でかっさらうスピードとか、ゴール下に持って行くか味方を使うかの判断の速さとか。先にも書いたようにこれらは今やNBAの常識になりつつあるので、ひとつひとつは特別なプレーではないのですが、とにかくこの判断の速さは目を惹きましたし、これを試合を通して続ける集中力は異常でした。本当にお見事。
そしてゴベアとマクダニエルズですよね。この二人のピック&ロールディフェンスにナゲッツは苦しめられました。ゴベアはDPOYに何度も選ばれているようにツーメンゲームに対するディフェンスは超一流で、加えてこのシリーズはヨキッチとマッチアップしてファウルトラブルになりませんでした。言ってもヨキッチなので、普通に1on1されるだけでもファウルしてしまうのは最早致し方ないというレベルだと思うのですが、終始冷静でしたね。これがカンファレンスファイナルだったら確実にMVPだっただろうというディフェンスでした。
マクダニエルズのディフェンスがまたいやらしかったですね。スクリーンへの対処能力というのが今のNBAでは超重要な要素ですが、マクダニエルズはスクリーンに対してスピードと腕の長さでリカバリーしていました。対応自体はどの選手もやっているオーバーディフェンスなのですが、このスピードとウィングスパンでカバーするっていうのは、中々他に出来る選手がいません。心臓に毛が生えたようにシュートを打つマレーも、このプレッシャーにはさすがに動揺しているように見えました。
長く同じチームメイトとやっているだけあって、エドワーズをほぼ欠いた状態で勝ち切ったウルブス。セミファイナルでは新星スパーズにどんなバスケをするのか気になるところです。
スパーズVSブレイザーズ
ゲーム4ぐらいまでは、割とどちらが勝つか分からないシリーズだったと思いますが、最後はスパーズに手も足も出なかったブレイザーズ。実はゲーム5とゲーム6はほぼ見ていません……見ながら寝ていたので。
正直、幾らでもやりようがあっただろうとは思います。このチームは珍しく、苦しくなるほどアブディア頼りにならず、ホリデーやスクートに持たせようとしていました。良く言えばエースのパフォーマンスを保つ作戦を取っていたといえますし、実際アブディアのプレータイムは実はゲーム1の39分が最長、得点効率もそれほど悪くありませんでした。だから狙いは理解できますし、狙い通りの結果も出ていたと思うのですが、当然のようにホリデーやスクートが仕切るオフェンスをカモられた感があります。
もっとアブディアに頼れば違う結果だったんじゃないか、とは思います。ただこればかりはしょうがないとも思ってしまいます。その前のゲームでホリデーは当たっていましたし、スクートも個人で点を取っていました。だからそこに賭けたくなる心情は正直分かるし、アブディア頼みじゃいずれジリ貧になる気がする、と言われればそれも分かる。アブディアがどうという話ではなくて、一般的に一人の選手頼りになると苦しくなるよね、という話です。
まあ、それでもアブディアを信じるべきじゃなかったかな、というのが個人的な想いです。なにせウェンビーがリムプロテクターとして鎮座していても、事もなげに得点していましたからね。ウルブスが絶賛ウェンビーに苦しんでいるのを見ると、余計に凄いなと思います。
だから「自分たちのエースを信じきれなかった」というのがブレイザーズの一番の印象です。でもそれもちょっと分かるんだよなあ。今シーズンのアブディアは文句なしのオールスター選手でしたが、開幕の時はここまで強引にドライブ突破する感じはなかったですし。それに波の激しいホリデーがレギュラーシーズンで良い内容を見せ、プレーオフでスクートが大当たり。グラントもそうですが、良い意味で誤算だらけのシーズンで、その流れに身を任せたことはチームの成長に繋がったんじゃないかな。そしてそのスタンスがプレーオフだとその誤算が悪い方向に出てしまった、という風に見ています。
ということで、ゲーム4とゲーム5の内容は散々だったと思いますが、個人的には結構ポジティブに見ています。来シーズンは今のチームに何を足し、何を引くかがポイントになるでしょう。主には引く方だと思いますが。
現行の路線で行くならば、ホリデーもスクートもメインのハンドラーにするにはちょっと苦しい。クリンガンがゴール下でフォローしてくれるならいいのですが、段々とストレッチ5に近付きつつあるので、まずは誰をメインハンドラーにするかという役割の整理が必要でしょう。ここはアブディアと、復帰するであろうリラードに頼る形で問題ない気がします。シャープを据えるのも悪くない選択肢だと思いますが……
それに合わせてビッグマンを用意する必要もあるでしょう。正直ブレイザーズにビッグマンが必要なのかとは思うんですけどね。ロバート・ウィリアムスはともかく、クリンガンはもうちょっと頑張ってもらわないと、これだけウィングディフェンダーを揃えても宝の持ち腐れになってしまいます。
そんな感じで、結構来シーズンが楽しみなブレイザーズです。勝負を仕掛けるにはまだ早い気はしますが、アブディアの契約が来シーズンまで安いので、そこをフロントがどう判断するかが来シーズンのブレイザーズの行く末を大きく変えるでしょう。
イースタンカンファレンス
ピストンズVSマジック
第一シードが3勝1敗に追い込まれ、そこから見事なカムバックを果たしたシリーズでした。
ピストンズについて触れるとするなら、兎にも角にもカニングハムでしょう。もし1stラウンドのリーグMVPを決めるとするなら、まず間違いなくケイド・カニングハムになるだろうと、そう言いたくなるようなモンスターパフォーマンスでした。特に追い込まれてからのジャンプアップが凄まじく、ゲーム6の内容はマジックファンでなくとも鳥肌が立つ内容でした。もしも贔屓のチームがプレーオフでこんなことをされたら……と思うと、もう掛ける言葉もないです。
この試合はマジックが後半4本しかFGを決めておらず、悉くピストンズがディフェンスでシャットアウトしていました。カニングハムはエースなので当然オフェンスの中心ではあり、この試合でも後半だけで24点をスコアしていましたが、そのスコアリング以上に驚異的なディフェンスをしていました。普通後半に24点取ったらどれだけディフェンスが悪くたって褒められると思うのですが、そのオフェンス以上に凄かったです。
気合と根性のハイプレッシャー&ヘルプディフェンスを仕掛けて、マジックにまともにボールキープすらさせない状況を作ったピストンズ。そのハイプレッシャーとヘルプの両方を担ったのがカニングハムでした。試合を見るとハンドラーディフェンスでもヘルプディフェンスでもリバウンドシチュエーションでも姿を見せており、冗談じゃなくコートに三人ぐらいカニングハムがいるように見えます。
確かにマジックのオフェンス構築がまずかったのは、まあそうだと思うのですが、この試合を見ているともうしょうがないとしか思えません。だってカニングハムが三人いるんだから。この試合のマジックを咎めるのって、気分的には5対7でオフェンスしているのに「なんで点が取れないんだ!」みたいな話だと思っています。マンマーク良し、カバーリング良し、リバウンド良し。一ディフェンダーとしてエリートなディフェンダーでありながら、そんな要素が霞んで見えるほどの圧倒的な運動量だったカニングハムでした。
17.4点5.5リバウンド5.6アシスト。ルーキー時代のカニングハムを見た人の中で、将来リーグを背負う選手になると思った人は、案外少なくないと思っています。しかしまさか、こんな怪物みたいなディフェンスでチームを勝利に導く選手になるとは、私は思ってもみませんでした。NBAは安泰ですね。
マジックはベインを迎えて1stラウンド突破を狙ったシーズンでしたが、結果は変わらず。ピストンズに負けた、という結果は気にしても仕方ないとは思いますが、内容が良くなかったのは事実です。バンケロやワグナーという中心選手がいながら、本来オフボールで働けるはずのベインをハンドラーとして使い、それに止まらずサッグスやブラックにも同じような仕事をさせていたのは、ちょっと意図がよく分かりません。役割の整理が出来なかったということで、悩みの種はブレイザーズと同じですね。
そしてモズリーは解雇されました。彼の場合、ベインを加えたからかハイペースなオフェンスを構築したり、ケインを発掘したりとHCとして仕事はしていたと思いますが、それが結果に繋がらなかったので解雇は致し方なかったのでしょう。個人的にマジックはあまり食指が動かなかったのでモズリーは印象の薄いHCでしたが、バンケロが思うほど伸びなかったり、ワグナーがプレーオフで怪我したりと難しいところもあったので、お疲れさまでしたと言いたいです。
しかし、カニングハムの影に完全に隠れてしまったものの、バンケロもこのシリーズは凄く頑張っていましたね。ワグナーがいないことでエースとして強引に突破する気持ちを持っており、ゲーム5は45点、ゲーム7は38点を記録しています。地味にディフェンスは改善しているように見えるので、周りを気にせずして欲しいです。やれドンチッチ、やれエドワーズ、やれカニングハムに今シーズンはウェンビーがいるので、そこと比べると劣っていると正直感じてしまいますが、4年目の選手がエースとなってプレーオフまで率いて22.2点8.4リバウンド5.2アシストを平均したのは立派だと思います。2021年ドラフトで明確に彼より優れていると言える選手は、ジェイレン・ウィリアムスぐらいしかいませんし、殆どの選手はこの舞台に立つことも、20点以上をアベレージすることも出来ないわけですから、本当によくやっている。何様だよって話ですね。
セルツVSシクサーズ
個人的には1stラウンドで最も見応えのあるシリーズだったと思います。共に1on1ベースで戦うチームでありながら、セルツはキックアウトからの連携、シクサーズはニック・ナースのシチュエーション作りの上手さで、終始どう転ぶか分からないシリーズでした。ゲーム7でさえも終盤までどうなるか分かりませんでしたね。
エンビードを欠いたシクサーズは、今シーズンにオールNBA級に成長したマキシーのスピードドライブ、ポール・ジョージの多彩なスキル、そしてエッジコムのプレーメイクと強気なシューティングを軸にオフェンスを作りました。ここに加わるエッジコムは本当に恐ろしい。とりわけトランジションの組み立てに関しては最早リーグ有数の選手です。
ただ、この三人の中で最も貢献度が高かったのはポール・ジョージでしょう。オフェンスのメインはマキシーだったのでポール・ジョージはその繋ぎ役といった感じだったのですが、ディフェンスになると彼はシクサーズの中心選手でした。マンマークの強さとカバーリング、まさに彼にやって欲しい仕事を完璧にこなしてセルツのペイントアタックを効果的に守っていました。
ここにエンビードが戻って来てどうなるのかと思っていましたが、それはそれで上手いことやってしまうのがナースの不思議なところ。ディフェンスになるとエンビードはもう明らかに動けていなかったのですが、結果的に勝っちゃうんですよね。試合を見ていると、エンビードがいる時間のディフェンスが怖くて仕方なかったのですが、あれで行けると思えるのが試合を見ていても分かりません。
セミファイナルはエリートシューターのタウンズがいるので、ショーディフェンスが出来ないエンビードの弱点は突っつき回されるでしょう。ナースはどういう選択をするのか。
セルツの話です。ホーフォードにポルジンギス、ティルマンを失い一気にビッグマンの層が薄くなったところをケイタに頑張ってもらい、ホリデーの高額契約を処理してブーチェビッチに変えたブラッド・スティーブンスの手腕がまず光りましたね。そのブーチェビッチがプレーオフで活躍出来なかったのは誤算だったでしょうが、経緯を辿ると本来手に入るはずのないものを手に入れたようにすら思えますし、フィットしていないわけでもないので大成功なフロントムーブであることに間違いありません。
結果的にセルツはシーズンの大部分でテイタムを欠きながらリーグ2位です。マズーラの手腕が光りに光りました。当然最優秀コーチ賞の最終候補です。優勝したシーズン以上にその実力を見せたマズーラでした。来シーズンへの準備はバッチリですね。優勝した翌年にテイタムが大怪我を負い、今シーズン中に復帰出来るかも分からないという状態だったセルツなので、ここまで戦えたこと自体がまず素晴らしいですし、サンズと同様、負けはしたものの文句なしのシーズンだったと思います。
ニックスVSホークス
このシリーズはゲーム2とゲーム3を見て、それ以降は見ていないので特にこれと言って感想がありません。0-2からの4連勝でシリーズを制したニックスなので、逆境を跳ね返したといえばそうなのですが、内容を見ると単にニックスが取りこぼしたという印象が強かったです。
ヤングをトレードしてジェイレン・ジョンソンとダイソン・ダニエルズを中心に、ディフェンス&トランジション中心の戦術に切り替えたホークスでしたが、ハーフコートの構築に苦戦していました。その原因は主にアヌノビーで、こればかりはどうしようもない。ということで最終的にマッカラムとクミンガの1on1に託すという形が増えました。ここで勝てれば勝機はあるものの、勝てなければ……というシリーズと見ていました。ゲーム6は51点差です。
ホークスは今シーズン作り変えを行って成功したチームで、ただ戦術の熟練度が低かったから負けたという、言ってしまえばそれだけだったかと思います。2勝したことは褒めるべきだと思いますし、戦術が悪かったから負けたわけではないとも思うので、本当に、これから頑張ってくださいということ以外ないですね。まだこうするべき、ああするべき、みたいなことを言うところまで来てないと思います。
ニックスの方は本当に感想がないですね。ブランソンは強い。アヌノビーは反則。
キャブスVSラプターズ
このシリーズ、ちょくちょく1Qだけとかは見ていたのですが、結局フルで試合を見なかった唯一のシリーズでした。興味がなかったわけはなく、寧ろ非常に見たかったシリーズだったのですが、色々とその時その時でタイミングが悪くて、とうとう見られませんでした。
見ていなかったので適当なことしか言えないのですが、多分面白いシリーズだったんじゃないかなと思うんですよね。単純にゲーム7まで行っていますし、互いに選手層を活かして戦うチームなので、色々と仕掛け合いになったんじゃないかなと思います。私が見たゲーム7の後半はジャレット・アレンが攻守に全てを解決して試合を終わらせていたので、仕掛け合いも何もという感じでしたが。逆に感想が聞きたいです。
ラプターズは個人的に非常に印象が良いチームで、特にベンチメンバーがみんな優秀な印象があります。ウォルター、シェッドとモグボがお気に入り。ディックの出番が減ったのは寂しい。元マブスファンとしてはAJローソンが貴重なプレーオフミニッツを貰えていたようで嬉しいです。あとコリー・マレー・ボイルズという選手のディフェンスは凄かったですね。彼はもしかしたら全盛期のアデバヨを超えるディフェンダーになるかもしれない。
という感じでベンチメンバーは文句なし、どころかリーグ最高レベルの層の厚さに見えています。そしてそれをラヤコビッチがちゃんと使っているのが良いですよね。だからラプターズというチームへの印象は良く見えます。スターターのサラリーが軒並み高いのは気になりますが……活躍していないわけではないのでね。
キャブスは苦戦しましたね。ラプターズが強かったのかもしれませんが、去年のキャブスって滅茶苦茶な強さだったと思うんですよね。ぶっちゃけ去年のキャブスと今年のラプターズが対戦したら、スイープでキャブスが勝っていたんじゃないかと個人的には思うぐらいの強さだったのですが……どうしちゃったんでしょうか。今シーズンはイースト4位ということもあり、あの圧倒的な強さはどこへ行ってしまったのかと、ちょっと思ってしまいます。
なぜキャブスがこうなってしまったのかについては非常に興味があるのですが、それは多分シーズンを通して見ないと分からないことなので、残念ながら迷宮入りになりそうです。プレーオフを見たら少しぐらいは分かるんですかね。
終わり
プレーオフの1stラウンドは試合数が多いので、見る側の負担が最も大きい時期です。なので私はこれまでマブスと気になっているチームの試合を2、3試合ぐらい見て終わりにしていたのですが、今回初の試みとして全てのチームを少しずつ見てみました。
結論としては、やはりシリーズを絞って見る方がいいと思います。なぜこういう戦術を選択したのか、なぜこの選手を起用するのか、或いはしないのか等、シリーズを通した流れが分からないと疑問ばかりが浮かんで試合をなかなか楽しめませんでした。それこそキャブスVSラプターズのゲーム7は、なぜアレンが暴れているのかがよく分からないまま進んでいって、その疑問が先行し過ぎて内容に没入出来ませんでしたね。セミファイナルは1stラウンドの半分しか試合がないので、もう少しのめり込んで見られる……と思います。言っても一日二試合を全部追うとスキップを駆使しても3時間は取られるので……時間の取られる趣味ですね。