先週に引き続き、今週の試合の雑感を書いていきたいと思います。今週はシェイ・ギリジャス・アレクサンダーが連続20点以上の記録でウィルト・チェンバレンを超えて歴代1位に、そしてバム・アデバヨが一試合での得点記録で歴代2番目となる83点をスコアする等、歴史的な記録が生まれた週でしたね。SGAは納得ですが、まさか元々ディフェンダーだったはずのアデバヨが得点で記録を作るとは思いませんでした。
さて、細かい話は追々していくとして、まずは今週見た試合を最初に羅列しておきます。気になる試合だけでも見て頂ければと思います。
3/9 キングスVSブルズ
早くもプレーオフ不出場を決めたキングスと、プレーインまで首の皮一枚のブルズの対戦です。現時点でブルズはイースト12位、10位のホーネッツとは6.5ゲーム差もあります。残りの試合数を考えるとブルズがプレーインに出場するには残りの試合は1試合たりとも負けられず、仮に残り全勝でシーズンを終えたとしてもホーネッツの勝率次第ではプレーインには出られません。つまりプレーインは絶望的な状況です。なのでキングスとブルズ、どちらも見納めのつもりで見ました。
ドマンタス・サボニスが左膝半月板、ザック・ラビーンが右手の手術でシーズンエンドとなってしまったキングス。加えてこの試合ではキーガン・マレーもデマー・デローザンも離脱しており、ラッセル・ウェストブルックとマリク・モンクのガードコンビを中心に戦っていました。
圧倒的な身体能力とメンタルでディフェンスを破壊してきたミスタートリプルダブルのキャリア晩年、一体どんなプレーをするのかと見ていましたが、ツーメンゲームからスペースを作ってロブパスやカッティングへのパスでひたすらアシストを積んでいました。
このハイライトでもその一端が伺えると思いますが、これは果たしてウェストブルックなのかと思ってしまうぐらいに綺麗にプレーメイクしていました。12アシストに0ターンオーバーです。3Pは3/5の60%です。夢でも見ているのかと思うぐらいに私が知るウェストブルックとはかけ離れたプレーでした。ブルズのディフェンスが悪かったとはいえちょっと上手すぎましたね。身体能力に隠れていただけで、パサーに徹すればこんなことが出来てしまうのかと感動を覚えました。
キングスのプレーはウェストブルックと愉快な仲間たちという感じで、ツーメンゲームに合わせてウィングが動くのがメイン戦術でした。この試合に出場したキングスの若手はロールプレイヤータイプの選手ばかりだったので、ウェストブルックのもとで脇役仕事を学べる良い機会になっていたと思います。マクシム・レイノーという今年の二巡目ルーキーは26点を記録していました。ブルズのゾーンディフェンスに対して真ん中のスポットに顔を出してウェストブルックからパスを貰い、柔らかいシュートタッチとパスでの展開を見せていました。
このレイノーという選手、22歳のルーキーでスタンフォード大学を卒業してからNBAに来たそうです。スタンフォードといえば学業に厳しい大学ですが、Wikipediaを見る感じだと彼はその中でもかなり優秀だったようですね。よく考えたら彼はフランス人なので言語的・文化的にアメリカの大学に行くだけでもかなり高いハードルなのに、その中でもトップレベルの大学に行くって凄いですね。これもWiki情報ですが、ダグ・クリスティは彼の戦術理解力やディフェンスの意識の高さを評価しており「スポンジ」と表現したとのこと。
実際良い選手だと思うんですよね。ディフェンスの引き出しがルーキーにしてはかなり多くて、オフェンスでも精度こそ高くないものの色んな事が出来るタイプで、何よりハードワーク出来ていました。リバウンドはそんなに強くないですが、ウェストブルックがいますからそこは大した問題じゃなくて……
ということを考えると、サボニスよりもウェストブルックとの相性が良い選手に見えちゃうんですよね。今シーズンの最初の方だけキングスの試合を見ていたのですが、その時のサボニスは所謂プレーメイカー的な仕事はほぼしていなくて、ただのツーメンゲームのロールマン役でした。そのサボニスって正直そんなに脅威じゃないと思うんですよね。サボニスって世にも珍しい代表戦で活躍出来ないNBA選手で、個人としての強みはリバウンド以外は実はそんなにありません。だからレイノーを見てサボニスをどうするんだろう、というのは思いました。サボニスを、というか再建に向かうか否かなんですが。
そしてブルズ側の感想がほぼない試合でした。オフェンスもディフェンスもちょっとアレな感じでしたが、特にディフェンスが……さすがに引き出しがなさ過ぎる。困ったらウェストブルックが真ん中のスペースを利用するのですが、それだけで無力化されてしまった感。レイノーが20本もシュートを打ったのですが、完全にロールマンタイプのビッグマンが20本もシュートを打っているのなんて異常です。何よりこのディフェンスってもう随分前から変わっていない気がします。ブルズの試合を見る度にこのゾーンをやっていて、その度に真ん中のスペースにボールが入ったらあたふたしているので、何かしら手を加えた方がいいのではないかとちょっと思います。
3/10 サンダーVSナゲッツ
二コラ・ヨキッチとSGAのMVP対決は、SGAのステップバックスリーに対してヨキッチがステップバックスリー&1で同点に追いつき、再びSGAがステップバックスリーを決めて試合を終わらせるという劇的な結末を迎えました。私は今シーズンのMVPにケイド・カニングハムを推していますが、この試合を見るとSGAかもな、と思っちゃいましたね。あまりにも見事でした。
個人的にSGAはあまり興味をそそられない選手でした。完璧に止めることは不可能だけどゲームメイクが上手いタイプの選手ではなかったので、ファウルだけは気を付けてほどほどに泳がせておけばいい……というのが2023-24シーズンのプレーオフでした。その翌年からSGAのパスから展開する力をチームとして伸ばしたサンダー。結果的に優勝したのでSGAの能力は認めざるを得ないものでしたが、正直ファイナルのゲーム7までピンと来てなかったんですよね。
ペイサーズとのゲーム7は開始早々怪我をしてしまったタイリース・ハリバートンの穴を感じさせないほどの采配を見せたリック・カーライルでした。普通のチームだったらあの采配のペイサーズには対応出来ないと思うんですが、結局優勝したのはサンダーでした。その時のSGAのプレーと、特に表情が印象的でしたね。当時のことはnoteの方で書いているので割愛しますが、この試合から私の中でSGAに対するリスペクトが一段階上がりました。
そして迎えた今シーズン、SGAへのリスペクトが止まりません。このナゲッツ戦でのSGAは前半を自らのスコアリングで戦い、後半はドライブキックアウト、そして第4Qでステップバックスリーというようにプレーを変えていきました。このステップバックスリーが今シーズン最大の武器で、これまで48/110の43.6%という驚異的な確率で決めています。SGAって結構オフェンスで困っているイメージがあって、それで困りながらでも決めていたから凄かったのですが、ステップバックスリーを習得してからは困る事がなくなってしまったような、余裕な雰囲気を感じています。別次元のスコアラーになってしまった感。
このレベルのスコアラーが次に現れるとしたら、誰になるんでしょうね。カニングハムも凄まじい支配力を持っていますがスキル的にそこまで上手いわけではないので、本気で止めに来られたら割と止まっちゃいますし、アンソニー・エドワーズは余裕な雰囲気を度々出していますが単純に気を抜いているだけに見えるし……
3/11 ヒートVSウィザーズ
Xの方で書いたのでアレックス・サールの話は割愛します。個人的に好きな選手なので、腐らず頑張ってほしいです。今回はアデバヨの話をします。
試合を見ると1Qからヒートはアデバヨにボールを持たせて1on1させていましたね。それがあまりに調子が良かったので1Qに31点も取っていました。この時のアデバヨは完全にゾーンに入っていましたね。それから2Q、3Qもボールを持つんですが、1Qのようにはシュートが入らず、割と微妙な感じでした。そして第4Qで永遠にフリースローを打ち続けて83点に到達しました。
さすがにこれは言っておきたいのですが、この試合はアデバヨが83点取らなければ勝てない試合ではありませんでした。特に試合中盤が顕著でしたが雑なトランジションが余りにも多かったです。ハーフコートオフェンスに苦しんでいたウィザーズだったので、ヒートはわざわざ敵に塩を送っているような状態でした。試合運びがだいぶまずい感じでしたね。その上での終盤の逆ファウルゲームですよ。さすがにシャバいというか、ヒートってそういうの嫌いそうなチームだと思っていたんですけどね。
なので個人的にはあまり良い印象はありませんでしたし、コービー信者として気分の良いものではありませんでした。その状態で先日ヒートファンの元同僚と話す機会があって「どうでした?」と聞いてみたのですが、その人にとっては感動的な試合だったそうです。さすがにそんな人の前で「あれはさすがにシャバいっすね」なんて言えなかったのでうんうん頷いていました。
その人曰く、アデバヨが積極的にアタックしていたことに感動したそう。確かにそれはそうだなと思いました。アデバヨが台頭してきた頃、ヒートにはジミー・バトラーという大エースがいて、後にタイラー・ヒーローというスコアラーが現れてと、自分が1stオプションでオフェンスをする機会はあまりなかったように記憶しています。そして(プレーオフの話ですが)いざボールを持つとあまり活躍出来なかったアデバヨ。ミドルレンジのシュートが安定して入らず沼にハマってしまうシーンはよく覚えています。そういう精神性の選手が、この試合はひたすらドライブアタックしていました。それは凄く評価したくなるところです。
うーん、やっぱり最後の逆ファウルゲームでミソがついちゃった感があります。言っても第3Qの後半からはサールが下がったのでウィザーズも息を吹き返しており、疲れもある中で第4Qも継続してアタックしていたことは全く問題ないというか、寧ろ良かったと思います。なのに逆ファウルゲームはねえ……あまり気分の良いものではありませんでしたね。レブロンは連続二桁得点を途絶えさせない為に逆ファウルゲームなんてしなかった。
ただこの83点を後味の良いものに出来るとしたら、それはアデバヨがこの試合を機にスコアリングに積極的になった時でしょう。この試合でのメンタリティをチームが苦しい時、特にプレーオフで発揮してくれたとしたらこの83点は大きな意味があったと言えます。つまりサールと同様(逆か)これからも頑張れ、という話です。
ウィザーズの試合を見るのは恐らくこれが最後になると思うので触れておきますが、ウィル・ライリーが凄く興味をそそられますね。今年のドラフト一巡目指名選手で基本ベンチスタートなのですが、私の目にはウィザーズで一番上手い選手に見えました。如何せんあまり長く試合に出ないので何とも言えませんが、キングスでウィングとしてプレーしていたハリバートンのことをちょっと思い出しました。ウィザーズが彼をどのスケールの選手として考えているのかはよく分かりませんが、トレイ・ヤングの横でどんなプレーをするのか、来シーズンのウィザーズを見る時はそこに注目したいと思っています。