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【NBA】ニコ・ハリソンの解雇について

 本日、ダラス・マーベリックスはGMのニコ・ハリソンを解雇すると発表しました。

news.yahoo.co.jp

 数々の批判を受けたルカ・ドンチッチのトレード以降、低迷し続けるチームの責任を取る形での解雇です。負けの責任を一人に背負わせるのはフェアではないという気持ちはありつつも、ハリソンの場合は彼が主導したトレードによってチームのSNSアカウントのフォロワーが激減する等、収益的な面での被害も少なくなかったであろうことから、致し方ないという他ないでしょう。擁護は難しく、個人的には擁護をする気も起きません。

 「defence wins championships」というコンセプトのもと、ドンチッチをトレードしてまでディフェンダーの数を揃えたマブス。今回は彼のこの考えは果たして正しかったのか、間違っていたのか考えてみたいと思います。

 

マブスのディフェンス

マブスのDEFレーティング

2024-25シーズン 115.0(20位)

2025-26シーズン 110.0(3位)

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 方針転換の甲斐もあってか、マブスのDEFレーティングは大幅に改善しました。115.0→110.0は大きな変化です。しかし突出して良いかと言われればそうではなく、4位のピストンズは110.2とほぼ誤差、そして1位のサンダーは104.1と大きく溝を開けられています。

マブスのOFFレーティング

2024-25シーズン 113.7(18位)

2025-26シーズン 104.2(30位)

NBA.com

 そうして改善したDEFレーティングの倍近くOFFレーティングを落としています。リーグ3位のディフェンスとリーグ最下位のオフェンスを誇るマブスの順位は、現在リーグ25位の勝率と、この時点で既に彼の理論は破綻しているように思えます。

 オフェンスに関してはカイリー・アービングの離脱等もあるので致し方ありません。その分ディフェンスで取り返せば良いはずなのですが、そのディフェンスでもリーグの頂点になれていないのは、ファンとしては一体どういうことなのか。そこにあるのは、マブスとアンソニー・デイビスの相性です。

アンソニー・デイビスとの相性

デイビスのON/OFFコートレーティング

ONコート OFF/DEF 102.5/109.3

OFFコート OFF/DEF 104.0/109.1

NBA.com

 開幕から僅か5試合で離脱してしまったのでスモールサンプルではありますが、今のマブスはデイビスがいてもディフェンスが良くなることはなく、オフェンスが悪化するという結果になっています。かつてのDPOYでありながらこの結果というのは極めて違和感があるでしょう。

 こうなっている理由は幾つか考えられます。トップからハンドリングしてカウンターを貰いやすい、デイビスはカウンターに対して戻らない、そもそもデイビスはマブス基準では極めて走力に欠ける等です。オフシーズンに体重を増加してこともあって、例年よりも更に動けなくなっていったデイビス。

 そういった個人的な事情が、チームディフェンスにも少なからず影響していました。かつてはペリメーターでガードを守っていたデイビスでしたが今となってはそんな姿は見る影もなく、ピック&ロールディフェンスでもドロップしてペイントエリアから離れようとしません。

 そうなると動かないデイビスの代わりにアウトサイドのローテーションを他の4人で守らなければならなくなってしまいます。ディフェンダーを揃えているマブスなのである程度は耐えられるのですが、しっかりパスを繋ぐシステムを持つチームには耐えられず、特に開幕直後はデイビスにデリック・ライブリーを並べていたので、明らかにローテーションのスピードが足らない状況でした。

 これを解消する為か、それともライブリーが怪我したからかは分かりませんが、この3人を並べている時間が減ってからは幾分ましになりました。その過渡期のレーティングになる為、今後デイビスが復帰すれば今回挙げた数字より良くなるとは思いますが、そうなるとマブスが抱える豊富なビッグマンのプレータイムをどう分けるかが難しくなります。またHCのジェイソン・キッドはディフェンスの良いコーチとして知られるものの、その内容は機動力のあるウィングを使ったカバーリング&ローテーションの連続で守るというもので、デイビスとは真逆の特徴です。

 これらの事を踏まえた時、デイビスは元DPOYではあるものの、マブスの守り方を考えると「そもそもデイビスではdefence wins championshipsは叶えられない」ような気がします。デイビスの特徴はロスター構成とも、HCの戦術とも合致していません。仮にもしもデイビスを使って守りたかったのならば、デイビスの総力を補える機動力に特化した選手を揃えたり、HCを交代したりと手を打つべきでした。前者についてはマックス・クリスティーを加えたりもしているので手は打ったと言えますが、後者はいただけません。

 どうも中途半端というか、独りよがりな動きのように思えます。その為、「defence wins championships」という言葉が正しい・正しくないという以前の問題です。ドンチッチがデイビスになったらリーグ25位の勝率になった、ただそれだけが事実として残りました。

 

ニコ・ハリソンとは何だったのか

 私は明確にハリソンが嫌いなのですが、彼の打ち出したコンセプトの妥当性には興味がありました。その結果が「ドンチッチがデイビスになったらリーグ25位になった」と、毒にも薬にもならないような結論に終わってしまったことは非常に残念です。せめて理想を追求し続けて行く末を見届けさせて欲しかったのですが、理想を追求するだけの実行力も求心力もなかった。元マブスファンとして結果に対して本気で馬鹿にすることも、手のひらを反して褒めることも出来ない。ニコ・ハリソンとは何だったのか、そんな気持ちだけが残るただただ虚しいニュースでした。